保湿ケアのファーストステップといえば化粧水。プチプラからハイブランドまでさまざまな種類があり、どれを選べばいいか迷ってしまいますよね。安い化粧水でもたっぷり使うとうるおった気がしますが、それは一時的なもの。30歳からは少し高くても、質にこだわった化粧水を選びましょう。
化粧水の質は「引き込む力」で決まる!?
化粧水には「肌を保湿してくれるもの」といったイメージがありますよね。実はそれは誤解で、化粧水の保湿持続力は高くありません。
化粧水はその名の通り、水を主体につくられています。保湿成分も含まれているものの、美容液に比べると割合が少ないのが特徴。商品によって違いますが、安い化粧水はより保湿成分が少なく、ほぼ水である場合も。たっぷりつけても時間とともに蒸散してしまいます。
化粧水で与えた水分を閉じ込めるのは、美容オイルや乳液などに含まれる油性成分。安い化粧水をたっぷりつけて安心し、油性成分をおざなりにしてしまい、かえって乾燥を招いているケースがあります。
また化粧水が浸透するのは、肌の一番外側にある角層まで。角層はすでに死んだ細胞で形成されていて、部位によっては約0.02ミリの薄さしかありません。たっぷりつけても受け止められる量には限界があるのです。
だからこそ化粧水は「量」よりも、水分を閉じ込める美容オイルや乳液の油性成分を「引き込む力」が大事。化粧水の大半を占める「水の質」にこだわってみましょう。
ミネラル豊富な水が肌をベースアップ!
一般的な化粧水の多くは、不純物を取り除いた精製水が使われています。この他にはミネラルを含む温泉水、芳香成分を含むローズ水などがあります。
肌にいい効果をもたらしてくれるのは温泉水。温泉に入った後「肌がつるつるした」「しっとりした」などの経験がある人は多いですよね。温泉に含まれるナトリウムやマグネシウムなどのミネラルには、次のような効果が期待できます。
炭酸水素ナトリウム
余分な角質を柔らかくして清浄にし、後から使う化粧品のなじみをよくする
硫酸マグネシウム
肌のうるおいを保ちしっとりさせる
また肌(表皮)にマグネシウムイオンとカルシウムイオンが多くあると、肌の恒常性維持(状態を一定に保つこと)にも役立ちます[1]。
美容成分を溶かし込む基材として使用される精製水に対して、温泉水はそれ自体に保湿効果があります。後から使う保湿剤の美容成分と一丸になって、肌をベースアップしてくれますよ。
ミネラルは皮脂とも好相性
ナトリウムやマグネシウムなどのミネラルは汗にも含まれています。汗は皮脂と混ざり合うと、皮脂膜を形成しますよね。皮脂膜は肌のバリア機能に欠かせないもの。顔全体をムラなく覆って、肌内部の水分蒸散を防ぎながら、紫外線や外気の乾燥、pm2.5などの外部刺激から守ってくれます。
ところが30代から皮脂の分泌量が減少。質も低下して粘り気がでるので、皮脂膜がムラになり、乾燥しやすくなります。ミネラル豊富な化粧水は皮脂の質を整えて、サラリと伸び広がる理想的な皮脂膜へとサポート。バリア機能を高めるので、乾燥知らずの肌が目指せます。
化粧水のつけ方はコットンと手どっちが正解?
どちらが正解ということはありません。ただしつけ方によっては肌を傷めてしまうので、気をつけてください。
手でつけるとき
肌に直に触れて、状態を確認しながらつけられるのがメリット。肌なじみの良しあしや感触によって、乾燥や肌あれに気づきやすくなります。バシバシ叩くようにつけると、赤ら顔の原因になるので気をつけて。手のひら全体で押さえるようになじませましょう。
コットンでつけるとき
鼻筋や小鼻など、細かい部分にもつけやすいのがメリット。ただしコットンにとる量が少ないと、コットンの摩擦で肌を傷めることがあります。
化粧水が質より量でいいのは、皮脂のコンディションがいい20代まで。上質な化粧水を選んで丁寧になじませて、後からつける美容液やオイルの良さを引き出してあげましょう。
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参考文献
[1]土屋徹. “ミネラルバランス” 日本化粧品技術者会webサイト. https://www.sccj-ifscc.com/library/glossary_detail/1711(参照2019-12-24)