できることならいつだって、年齢より若々しくみられたいもの。芸能人のようにエステや美容医療で定期的なケアはできなくても、早めのエイジングケアで差がつきますよ。美容のプロが、エイジングケアの正しい知識から今すぐ始められる対策まで、まるっとご紹介します!
そもそもエイジングケアって何するの?
エイジングケアとは、年齢に合ったスキンケアを行うこと。年齢を重ねるとともに、肌本来の機能が低下したり、うるおいを保つ力が低下したりします。年齢に逆らうのではなく、年齢にふさわしい化粧品を適切に使って、肌を美しく整え若々しく保つことが目的です。
エイジングサインの原因
年齢とともに起こる肌変化は、大きく3つ。うるおい減少・ターンオーバーの乱れ・真皮の不調です。
うるおい減少
肌の水分を蓄えるNMF(天然保湿因子)や細胞間脂質は、年齢を重ねるにつれて徐々に減少。30代からは皮脂の分泌が減少します。皮脂は肌表面を覆って水分を閉じ込め、外部の刺激からも肌を守る「バリア機能」も担うもの。これらの減少によって肌がカサつき、ハリ・ツヤが低下していきます。
ターンオーバーの乱れ
ターンオーバーとは肌の細胞が生まれてから、アカとなって剥がれ落ちるまでのこと。20代は約28日周期ですが、40代になると約40日かかるといわれています[1]。ターンオーバーが遅くなると、
- 肌表面の角層が厚くなり、くすんだりゴワついたりする
- 肌荒れが治りにくくなる
- メラニン色素がスムーズに排出されなくなり、シミができやすくなる
などの影響が現れます。
真皮の不調
肌を大きく分けると表皮と真皮の2層になっています。真皮は表皮を支える土台のようなもの。弾力のある線維状のコラーゲンが縦横無尽に張り巡り、肌の弾力を生み出しています。年齢とともにコラーゲンの産生量が減少・変性していくと、シワ・たるみを招きます。
エイジングケアの始めどきは?
エイジングケアは肌悩みが本格化する前に、始めるのがおすすめ。できてしまったシミを消したりたるみを改善したりするのは、化粧品ではできないためです。シワを改善する医薬部外品の化粧品は登場していますが、塗ってすぐに改善が見込めるものではありません。
ツヤのなさやくすみ、毛穴の目立ち、ファンデのりなど、ちょっとした肌変化を感じたら始めどき。早めに始めておけば、美容医療に頼ったり、悩み別にいくつも美容液をプラスしたりする必要性が下がりますよね。皮脂の減少が始まりやすい30歳を目安にするのもおすすめです。
エイジングケア化粧品の使い方2つのおきて
エイジングケアというと、なんとなく面倒くさそうなイメージがありますよね。でもポイントはいたってシンプルで、「水分と油分をバランスよく補う」と「UVケアを強化する」の2点です。
水分と油分をバランスよく補う
保湿ケアというと「水分をたっぷり補うこと」を重視する人は多いですよね。でも化粧水はその名の通り水が主体。どんなにたっぷりつけても、油分で閉じ込めなければすぐ蒸発してしまいます。
また肌が化粧水を受け止められる量にも限界があるので、化粧水は量より質を重視。エイジングケア用の化粧水はプチプラ化粧水に比べて、保湿成分の割合を高めているものが多いんですよ。
油分を補うための乳液やクリームは、推奨量をきちんと使うことが大切。皮脂が減り始める30歳からは、油分の割合が多い美容オイルもおすすめです。
※美容オイルを使ったエイジングケアのポイントは『日本人に「与えすぎ」のエイジングケアは逆効果!?「守る」ケアでうるおい素肌へ』の記事をご覧ください。
UVケアを強化する
紫外線はシミだけでなく、シワやたるみの大きな原因になります。紫外線にはUV-BとUV-Aがあり、春から夏にかけて増えるエネルギーが強い紫外線がUV-B。一方のUV-Aはエネルギーが弱いものの、厚い雲や窓ガラスも通過して、真皮までじわじわと侵入します。UV-Bに比べると季節変動が小さいので、秋冬も曇りの日も、1年を通して対策しましょう。
日焼け止めは2~3時間おきに塗り直すのがベストですが、メイクをしていると無理ですよね。そんなときはパウダーファンデーションでメイク直しを。粉体が紫外線を物理的に跳ね返してくれます。
この2点を押さえつつ、気になる肌悩みがあったら、それに対応した化粧品でケアしましょう。
肌悩み別・化粧品選びのポイント
やみくもにあれこれ取り入れるのではなく、まずは自分の肌をよく見て・触れてチェック。自分に必要な化粧品を見極めてシンプルにケアするほうが、無理なく続けられますよ。
シミが気になるとき
医薬部外品の美白化粧品には、メラニンの生成を抑えて、シミ・ソバカスを防ぐ有効成分が配合されています。シミをつくらない・増やさない・濃くしないために効果的。ただし、すでにできたシミを薄くすることはできません。
シワが気になるとき
くっきりと目立つシワには、シワ改善効果が認められた医薬部外品のクリームがおすすめ。シワ改善有効成分は2019年12月現在、ニールワン、純粋レチノール、ナイアシンアミドの3種類があります。
乾燥が気になるとき
油分の割合が多く、水分を閉じ込める力に優れた美容オイルがおすすめ。皮脂に組成が近い植物由来のオイルは、肌によくなじみます。肌の奥から自然なツヤが出て、ちょっとしたシミや小ジワが目立たない肌に。ビタミンEやオレイン酸などを含むオイルなら、紫外線による乾燥ダメージのケアも期待できます。
エイジングケアを始めてみたものの、なかなか乾燥や肌荒れが収まらない…。そんなときは体の内側からのSOSかもしれません。生活習慣を見直して、内側から若々しい肌に底上げしましょう。
実は間違っていた!?エイジングケアを後押しする生活習慣の新常識
若々しい美肌づくりには、食事や睡眠のチカラも欠かせません。エイジングケアをバックアップする生活習慣について、○×クイズでご紹介。さっそくチェックしてみてくださいね。
Q1.食事編:美肌のためにはビタミンたっぷりな野菜中心の食事がいい?
正解は×
野菜や果物に多いビタミンは、肌荒れしにくい健やかな肌づくりに欠かせない栄養素。でも肌の材料になる根本の栄養素はタンパク質です。タンパク質をとらなければ、せっかくのビタミンをうまく運用できません。肉や魚、卵、大豆料理から、1日に3皿とりましょう。
Q2.睡眠編:長時間寝れば寝るほど肌にいい?
正解は×
理想的な睡眠時間は8時間といわれることがありますが、どの程度の時間が最適かは人によって異なります。もちろん短すぎるのはよくありませんが、睡眠時間よりも質にこだわってみましょう。
寝入りばなの3時間にぐっすり深く眠ると、日中の肌ダメージを修復する成長ホルモンの分泌が活発になります。寝つきをよくするには、寝る前にリラックスすることが大切。照明を暗めにして、スマホやテレビはオフしましょう。寝る前のアルコールは、途中で目覚めやすいので避けてくださいね。
長時間の入浴で肌が乾燥する?
正解は○
長時間入浴していると、肌のうるおいを閉じ込める皮脂がお湯に溶けだし、肌が乾燥します。代謝アップのために長風呂する方もいるようですが、外から温めるより、運動して自分の力で温めるほうが効果的。何時間もお風呂に入るなら、そのぶん運動にあてるか早く寝ることをおすすめします。
スキンケア・エイジングケアとは「若づくり」をすることではありません。化粧品を上手に取り入れて肌本来の機能をサポートし、年齢にとらわれない美肌を目指しましょう。あわせて生活習慣を見直せば、内側からも健やかな肌を育てることが可能に。今日からさっそく、実行してみてくださいね。
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参考文献
[1]吉木伸子他監修. 正しいスキンケア事典. 高橋書店 2010; 22-23